ある遺伝子が「体内時計の乱れ=がんの発生率」まで決めていた!?

私たちは、1日24時間の地球のリズムにほぼ同調して生活している。

このリズムはサーカディアンリズム(体内時計)と呼ばれ、遺伝子によってコントロールされているが、これらを支配する遺伝子には個人差があって、人によって微妙に違っている。

この遺伝子の個人差によって、サーカディアンリズム(体内時計)が乱れやすい人とそうでない人がいるが、アルゼンチンの研究グループは、サーカディアンリズム(体内時計)が乱れやすい遺伝体質の人は血液のがんにもなりやすい可能性があることを示した。

サーカディアンリズム(体内時計)の乱れは万病のもと

私たちの体は、サーカディアンリズム(体内時計)に合わせて、睡眠・覚醒のリズム、ホルモン分泌のリズム、交感神経や副交換神経など神経調節のリズムなど、さまざまな働きが調節されている

そして、この、サーカディアンリズム(体内時計)は「時計遺伝子」と呼ばれる遺伝子で調節されている。

サーカディアンリズム(体内時計)が乱れる症状を「サーカディアンリズム障害」といい、サーカディアンリズム障害を起こすと肥満、糖尿病、心臓血管系疾患、がんなどの病気にかかりやすくなることが知られている(※1)。

したがって、日が昇れば目を覚まし、暗くなれば眠る、という太古から続けられてきたサイクルに合わせ、体内時計を地球のリズムにセットしておくことは、私たちの健康にとってとても大切なのである。

「不眠・眠れない」睡眠障害になりやすい人は血液がんにもなりやすい?

サーカディアンリズムを調節する時計遺伝子。その一つに「PER3」という遺伝子がある。PER3遺伝子の個人差(遺伝子多型)は、サーカディアンリズム障害になりやすいか、それともなりにくいかという個人の体質にも関係している(※2)。

最近行われたアルゼンチンの研究では、時計遺伝子であるPER3の遺伝子多型が白血病などの血液がんの発症にも関係していることが示された。

がんは、細胞が無秩序に増殖を続ける状態

PER3は細胞のライフサイクルの調節や遺伝子の修復などに関わっているので、PER3遺伝子の働きが弱い場合、がんを誘発するという可能性も多いに考えられる。がんは細胞が正常なライフサイクルから脱線して、無秩序に増殖を続ける状態で、死ぬことを忘れた細胞ともいえるのだ。

少し脱線するが、世界中の研究者に最も知られているがん細胞に「Hela(ヒーラ)細胞」がある。1951年に子宮頸(けい)がんで亡くなった30代女性の腫瘍から得られた細胞で、彼女の名前からHelaと名付けられた。驚くべきことに、当の本人はすでにこの世にいないにもかかわらず、彼女の細胞は今もなお増殖を続けているのだ。

遺伝子検査で睡眠障害になりやすい体質が分かる?

PER3遺伝子の個人差がサーカディアンリズム障害リスクの高さに関係しているのであれば、遺伝子検査で簡単に調べられる日がくるかもしれない。また、今回研究者が示したように、PER3遺伝子が白血病のリスクも教えてくれるかもしれない。

最近では、遺伝子検査も自宅で簡単に行うことができる。口腔粘膜などの細胞を綿棒で採取して検査機関に送るだけで、数週間後には自分が将来どのような病気にかかりやすいのか分かってしまう(※3)。

知りたいような、ちょっと恐ろしいような気もするが、自分の病気リスクを把握できれば、今後の健康管理にいっそう気を使えるようになるだろう。

出典

参考・引用
※1:厚生労働省 e-ヘルスネット 体内時計 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-039.html
※2:国立精神・神経医療研究センター プレスリリース http://www.ncnp.go.jp/press/press_release140909.html
※3:DeNAライフサイエンス MYCODE https://mycode.jp/
参考:Medical News Today Scientists discover link between sleep gene ad blood cancer risk http://www.medicalnewstoday.com/releases/304231.php
 日本ウィルス学会 ウィルス第61巻第2号|書評〔不死細胞ヒーラ:ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生〕 http://jsv.umin.jp/journal/v61-2pdf/virus61-2_275-276.pd
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