良い睡眠を取るために必要不可欠なホルモンメラトニンとセロトニンを上手に分泌させて良い睡眠を

メラトニンとセロトニンの好循環が良い睡眠を導く

夜、眠くなるのはメラトニンというホルモンの働きです。
メラトニンは良い睡眠に不可欠で、夜になると徐々に分泌が増え、夜中に最大となります。
そして、メラトニンがたくさん分泌されるためには、メラトニンの材料であるセロトニンというホルモンが日中にしっかりと分泌される必要があります。

昼間はセロトニン、夜間はメラトニンという2つのホルモン分泌の流れが良い睡眠をもたらします。この2つのホルモンの好循環を促すための重要なポイントをいくつか紹介します。

メラトニン分泌のために夜は部屋を暗く

メラトニンは暗い環境でより多く分泌され、脳深部の松果体という部位から分泌されますが、目から入った光は、松果体に作用して、メラトニン分泌を減らしてしまいます。したがって、夜に明るい光を浴びることや、明るい場所で眠ることは、メラトニン分泌を減らし、良い睡眠を妨害します。

眠る3時間くらい前から室内を少し暗くして、メラトニン分泌を促すのが良いでしょう。
また、この時間帯にパソコンやスマートフォンなどの操作はできるだけ避けましょう。電子機器のディスプレーから発せられるブルーライト系の強い光は睡眠の質を低下させます。また、携帯電話からの電磁波はメラトニンを分解してしまうことも知られているので注意が必要です。

朝は日の光を浴びて体内時計リセット

メラトニンは、朝日を浴びた約15時間後に分泌が増加してきます。朝日を浴びることで、体内時計がリセットされ、メラトニンはこの体内時計にコントロールされています。
朝日を浴びないと、体内時計は毎日少しずつずれていき、適切な時間にあまりメラトニンが分泌されなくなってしまいます。

朝日を浴びないと、体内時計は毎日少しずつずれていき、適切な時間にメラトニンが分泌されなくなってしまいます。

地球の一日の周期は24時間ですが、人間の体内時計は25時間周期で動いているため、体内時計が少しずつずれていきます。このズレを調整するのが日光です。

太陽の光を浴びると、脳から信号が出され、脳内でのセロトニンの合成が活発になります。
睡眠に欠かせないメラトニンはセロトニンからつくられるので、昼間にセロトニン、夜間にメラトニンの好循環をつくりだすために朝日は特に重要です。
朝日といっても、直接日光を浴びる必要は必ずしもなく、曇りの日の照度でも体内時計をリセットするには十分です。
朝起きて、カーテンを開けるなどして明るい光を浴びることが重要です。
光を浴びる時間は、季節や天候などによりますが1日20〜30分程度がよいでしょう。

規則正しい食生活で、トリプトファンを多く摂取する

メラトニンの材料はセロトニンであるが、セロトニンの材料はトリプトファンというアミノ酸です。したがって、バランスの取れた食生活で、トリプトファンを上手に摂取することが、セロトニンの分泌、さらにはメラトニンの分泌を高めます。

トリプトファンはアミノ酸なので、タンパク質の多い食品にたくさん含まれています。肉や魚はもちろん、豆腐や納豆などの大豆製品、牛乳やチーズなどの乳製品、ピーナッツやアーモンドなどのナッツ類、バナナなどです。

規則正しい朝食習慣は体内時計をリセットする働きがあり、加えて、朝食でトリプトファンを取ればホルモン分泌も増えて、一石二鳥となります。


リズム運動を習慣的に行う

リズム運動はセロトニン分泌を促すことが知られています。リズム運動とは、例えば、ガムをかむ、ダンスを踊る、ウオーキング、水泳などリズムがある運動のことをさします。
ウオーキングをするときも「イチ、二、イチ、二」というようにてきぱきとテンポよくリズムを刻むのをお勧めします。

朝20分程度、ウォーキングをすれば、朝日を浴びてセロトニンの分泌が促され、夜のメラトニン分泌も約束されることになります。
運動は習慣的に行うことで、良い睡眠を取ることができます。

笑いのある生活をする

セロトニンはしばしば「幸福ホルモン」と称されます。
好きなことや楽しいことをしているときなど、幸せな気分を味わっているときに分泌され、また、そのような気持ちをつくるホルモンです。セロトニンが減少するとうつ病を引き起こすとも考えられており、セロトニンと私たちの気分には密接な関係があります。笑いにはセロトニン分泌を促したり、ストレスを軽減したりして、快眠をサポートする働きがあります。

笑いが大切といわれても、そう簡単には笑えないかもしれません。しかし、実際に笑わなくても「笑いまね」で顔の表情を作る(顔面筋を収縮させる)だけでもセロトニン分泌効果があります。いつもニコニコとしていれば、本当に幸福感を味わうことができます。

朝起きて日の光を浴び、夜は暗くして寝るという本来の生活チズムが健康的な生活の源となります