不眠の原因やそれに対する治療法はさまざまで、不眠を含めた睡眠障害の診断と治療は、精神科、呼吸器内科、神経内科、耳鼻咽喉科、小児科などさまざまな専門領域の人々が協力して行います。
診断と治療は個人個人に対応したケース・バイ・ケースの場合も多く、今もなお発展しつつあります。
まず、「眠れない」という症状の原因が、体の疾患や薬物の影響によるものではなく、また、睡眠時無呼吸症候群(SAS)や、むずむず脚症候群(別名エクボン症候群、身体末端の不快感や痛みなどの慢性的症状)ではないことが診断されます。
体の疾患では、例えば、やけど、けがなどの痛みを伴うものや皮膚病やアレルギーなどかゆみを伴うものなどは寝付きを悪くしたり、眠りを浅くしたりして、睡眠を妨害します。また、薬物の影響によるものでは、服用中の薬の副作用に覚醒作用があって睡眠が妨害される場合や、アルコール、カフェイン、ニコチンなど覚醒作用のある物質を就寝前に摂取することが原因で睡眠が妨害されている場合があります。
前述の要因を除外診断した上で、睡眠衛生指導が行われるのが一般的です。良い睡眠をとることの妨げになっている悪い生活習慣を改め、良質な睡眠を確保するために、睡眠についての適切な知識を持つ医師らが、生活を改善するための指導をします。
例えば、寝室環境や、就寝前の水分の取り方、規則正しい食生活などの項目が含まれます。これらの知識を患者自身が身に付け、日常生活で実践することで不眠を改善しようという試みであります。不眠の原因は身近な日常生活の中に潜んでいることが少なくないからです。
また、不眠症の患者は、うつ病などの精神疾患を患っていて、それが不眠の原因になっている場合も多いです。このような精神科の疾患による不眠は、精神科の治療が優先されます。
それでも「眠れない」症状が続いて、体調不良など昼間の生活に支障が生じているときには、「眠れない」症状のタイプに応じて、睡眠の補助として睡眠薬(ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系)が処方される場合があります。
また、SASにはCPAP(持続陽圧呼吸法)などが、また、むずむず脚症候群にはドパミン作動薬などの対症療法が行われます。
特に、強い不安を伴って「夜うまく眠れなくて困っている」という訴えが、心理的に慢性化しているような不眠症の患者には、睡眠に関わる適切な認知と行動の修正を施し、不眠に対する不安や苦痛を軽減させる認知行動療法といった精神療法が行われる場合があります。
認知行動療法とは、カウンセリングやグループワークなどを通して、ストレスなどの問題のとらえ方を徐々に変えていくことによって、問題に上手に対処できるような心の状態をつくっていくことです。
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