夜、なかなか眠れないとき、翌日のことを考えて、「早く眠らなくては」など焦ってしまうことも多いでしょう。
しかし、眠ろうと努力する必要はありません。
眠る前にいろいろと物事を考えたり、眠ろうと努力したりすることは、逆に、脳を活動させてしまい、ますます眠りを妨げる悪循環を招いてしまいます。
布団に入ったら、気を楽に保ち、できるだけ何も考えずに、音楽やアロマなどを活用するなどして、できるだけリラックスするのがよいでしょう。布団に入ったら、本を読んだり、スマートフォンを操作したりすることも控えたほうがよいです。
なかなか眠れないとき、いったん布団を出て、眠くなったらまた戻ってくることをお勧めします。布団に入って横になったら自然と眠れるような環境を作りあげ、「布団=眠れない場所」ではなく、「布団=眠る場所」と条件付けましょう。焦らずに目をつぶって何も考えず、じっと横になっているのも一つの手です。目をつぶっているだけでも、疲労回復には一定の効果があると考えられています。
目を閉じると、脳に入ってくる情報は遮断されます。目から脳へ送られる情報はとても多く、私たち人間は外部環境の多くの情報を視覚から得ています。
例えば、人と話をするときは相手の目や顔を見て、表情を読み取りながら、会話をします。また、買い物をするときには、自分の欲しいものには自然と無意識に視線が向かい、手に取ったりしながらよく眺めてから買うでしょう。目をつぶることによって、これら、脳に入ってくる視覚情報は全て遮断されるので、脳の視覚情報を処理する領域は休息した状態になります。
目をつぶることで、光による覚醒作用も防ぐことができます。夜間の強い光やパソコンやスマートフォンの画面から発せられる光は、体内時計中枢である脳深部の視交叉上核(しこうさじょうかく)に影響を与え、神経を活動させます。これは眠気を引き起こす睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌も減少させます。
目を閉じて横になることで、全身の筋肉は弛緩(しかん)して体はリラックスし、休息状態になっています。
体を動かすことは、脳を活動させ、筋肉に指令を出しているということです。運動に関わる脳部位は、脳の広範な領域にわたるため、体を休めることは同時に脳も休めていることにもなります。
眠れないからといって焦るとかえって逆効果です。そんなときは、心穏やかに静かに目をつぶり横になっていれば、疲労も回復するでしょう。「早く眠らなくては」と考えるよりは「眠れたらいいな」くらいの感覚で、開き直るくらいのほうが、結果的には睡眠にとってプラスに働きます。
横になる時は、部屋の照明を消すか、少し暗めに設定する、適度な部屋の温度や湿度に調整する、騒音を防ぐ、など寝室環境を整えると、より効果的です。
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