夜勤やシフトワークでは生活が不規則になりやすく、その結果、体内時計が狂いやすい。
体内時計の乱れは、がん、不眠症、自律神経失調症などの発症に関わることが指摘されている。そこで、体内時計を狂わせないために重要なことは、光、睡眠、食事を上手に利用して、できるだけ生活のリズムを一定に保つことである。
たとえ夜勤が常であっても、自分なりの生活リズムを保つことで体内時計は整い、自律神経やホルモンのバランスはよくなり、不調は最小限に抑えることができるはずである。
光は体内時計を「朝」にセットするために有効に使用する。夜勤が多く、昼夜が逆転した生活を送っている方は、夜間の活動時間帯は、昼間と考えて明るい環境で過ごす。逆に昼間の時間帯は、夜と考えて暗い環境で寝起きする。
休日は日中に活動したいと思うかもしれないが、できるだけいつもの生活に近いリズムで過ごすことで、体内時計の乱れを最小限に抑えることができる。
一方で、日中に活動することが多く、たまに夜勤があるような勤務体系(例えば、看護師など)の方は、体内時計は昼夜のリズムに合った状態が通常モードであり、これを崩さない努力が必要である。
ただし、夜勤明けの日は朝、就寝することになるだろう。その際、体内時計はまだ「夜」のままにしておかないと、その後の睡眠が妨害される可能性がある。帰宅途中に太陽の光を浴び、目に強い光が入ると、体内時計が「朝」にリセットされてしまうので、サングラスを着用するなどして、目に入る光をカットする必要がある。夜勤によって、少しずれた体内時計は、後述するように食事や睡眠法で調整することができる。
食事、特に朝食は、体内時計の調節に強力に働く。朝食は、睡眠中の長い絶食状態を打ち破ることで、体に「朝」を教える。したがって、朝食をとらないということは、体に「朝」を教えないこととなり、体内時計を乱す原因になる。逆にいうと、朝食をうまく利用することで、体内時計を調節することができる。
夜勤の方で、夜に起きている生活をしていても、「行動を開始する時間が、自分にとっての朝だ」と体内時計が認識するような食生活を送ることをお勧めする。つまり、起床後は「夜の朝食」をとることで、体内時計を「朝」に設定するということだ。自分なりに三食のリズムを刻むことが体内時計の乱れを防ぐうえで重要である。
夜勤の日も、いつも通り朝起きる。翌日の朝まで眠れないことになるので少し厳しいが、夜、軽い夜食をとり、夜中(時間遺伝子にしたがって、午前2時くらい)に15分程度の仮眠をとるとよい。
翌朝、夜勤が明けたら、睡眠をとるが、その際、できるだけ正午までには起きるようにする。3時間程度の睡眠だが、その後はきちんと起きて太陽の光を浴びる。どうしてももう少し眠りたい場合は午後3時までには起きる。午後3時以降の睡眠は、体内時計のリズムの中では夜間の眠りとして認識されるからである。
普段は7時間睡眠の人が夜勤明けは3時間睡眠となり、普段より4時間睡眠が不足している。その場合、普段よりも早く眠ることで睡眠不足を改善する。少し早めの夕食を済ませ、2〜3時間あとに就寝する。睡眠不足を解消するコツは、起床時間を遅くするのではなく、就寝時間を早めにするのがよい。
キャビンアテンダントやパイロット、海外出張の多い仕事の方などでは特に体内時計が乱れやすく、光、食事、睡眠のほかに時差に対処する必要も出てくる。時差への対処は、現地に到着してからではなく、前もって早めに、現地時間に合わせていくのがよい。
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