出産後頻繁な授乳による不眠、疲労蓄積の改善方法細切れ休息で体力回復

母親は出産後、出産そのものや授乳などにより体力が落ちる。体力の回復には半年以上かかるという。さらに、赤ちゃんの世話が昼夜関係なくあり、気を張っていることもあって、睡眠不足や疲労がたまる一方である。

赤ちゃんの夜間の世話で、まとまった睡眠が取れず睡眠不足になってしまう

赤ちゃんに昼夜の生活リズムができて離乳するまでは、睡眠不足が避けられない。夜間ミルクやおむつ替えなどは必ずしも母親でなくてもよいので、家族に協力してもらって交代し、少しでも休むとよい。できるだけ周囲の人に協力してもらい、休息を心がけよう。

産後の女性ホルモンの減少で不眠傾向になりやすい

女性は妊娠すると、エストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンの分泌が増える。これらのホルモンは妊娠継続や産後の母乳のために、出産に向けてどんどん分泌が増える。

しかし、出産後はこれらが急激に減ってしまう。この変動によって自律神経が乱れ、交感神経が優位となり、不眠になったり、体を休ませにくい状態になりがちだ。また、セロトニンが減少したりうまく働かなくなるなどの影響が出て、気分が落ち込んだり、ストレスを強く感じるようになる。

対策

残念ながら出産で変動する女性ホルモンを無理やり増やしたりすることは難しく、女性ホルモンの減少には、母乳を分泌させる重要な働きがあるため、対策は打てない。そこで睡眠で休息が少しでも取れるような対策が必要だ。

1.朝は日を浴び、夜は暗くして眠る

朝日を浴びることで夜間の睡眠ホルモン分泌のスイッチを押すことができる。また体内時計が朝日によってリセットされ、体のリズムが整う。反対に夜はスマホやゲームなど強い光は避けて暗くして横になるとよい。不規則な生活の中でも朝日は取り入れるように心がけよう。

2.軽い運動でセロトニンを分泌

セロトニン分泌を促すためには有酸素運動がよいとされている。産後なのでジョギングなど激しい運動はできない。代わりにストレッチ、リズム運動など軽く体を動かすとよい。

しかし産後1カ月は十分に母体を休める時期なので無理は禁物である。他に、ご飯をよくかんで食べる咀嚼(そしゃく)運動もよいとされる。これなら安静にしていても実践できる。

3.半身浴などで体を温める。

理想は半身浴でゆっくり体を温めることである。しかし、母親はゆっくりお風呂に入る余裕もなかなかないだろう。そんなときには、たらいにお湯を張って部屋で足湯をする。お湯さえ用意できれば赤ちゃんの様子を見ながらできるだろう。シャワーだけではなかなか体が温まらないが、足湯で体をゆっくり温めて深部体温を下げて眠気を誘う。

4.一日三食の食事をきちんと取る

睡眠・食事・運動は生活の3本柱であり、このうちの睡眠が産後でうまく取れない場合は、より一層食事に気を使うべきである。特に産後は体力が落ちており、授乳をする人もいるためいつもより栄養バランスに気をつけて3食きちんと食べるよう心がけよう。

食事で睡眠に関連するホルモンを分泌させる

また、快眠に欠かせないホルモン、セロトニンは食事の成分トリプトファンから生成される。産後はセロトニンが減少傾向にあるので、特に意識して取るとよい。トリプトファンは体内で合成できないので食事で摂取する必要がある。

トリプトファンはタンパク質を多く含む食品、例えば、かつお節、大豆、干しのり、脱脂粉乳、しらす干し、卵、豚肉、小麦胚芽などに多く含まれる。

頼れるものにはとことん頼る

他にもアロマや音楽などのリラックス方法を考えてみよう。自分で対策するだけでなく、産後の母親の体調に関する周囲の理解や育児への協力がとても重要である。

産後はだれでも、睡眠不足や不安感をある程度経験するが、睡眠不足なのに眠れない、不安が強いなどの状態が長く続くようなら、産後うつの始まりの可能性もあるので、病院受診を検討しよう。